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内科一般

鉄欠乏性貧血

なんと、日本人女性の約10%の方に貧血が見られます。そのうちの多くを鉄欠乏性貧血が占めています。
貧血は、赤血球あるいはヘモグロビンが、何らかの原因で足りなくなり、体が酸素不足になります。

主な症状は、顔色が悪い(顔が青白い、唇の色が悪い)、頭が重い、めまい、立ちくらみ、動悸、息切れ、体がだるい、疲れやすい、むくむなどです。この症状に「私もおなじよ」とおっしゃる方もたくさんいるとおもいます。
脳で酸素不足になるとボーっとしたり、酸素不足を補おうと心臓が無理をするため、脈が速くなり、動悸や息切れがします。
ときに、狭心症の症状と似ていることがあり心臓が悪いと思いこんでいる場合もあります。
慢性に貧血が進行した場合には、ヘモグロビンが7 g/dl程度でも自覚症状が無いこともありますが、急激にヘモグロビンが下がった場合10 g/dl程度でも強い症状が出ます。
注意:脳貧血は、血が薄い貧血ではなく、起立性低血圧の症状の俗称です。

ヘモグロビンは、ヘム(鉄)とグロビン(たんぱく質)からできています。通常体内に3,000~5000㎎の鉄があります。そのうち1000mg程度がフェリチンという形で貯蔵鉄として肝臓などに蓄えられています。鉄が必要な場合、トランスフェリン(たんぱく質)と鉄が結合し血清鉄となり運ばれます。
通常毎日1mgの鉄が皮膚や腸から失われます。女性は更に1回の月経周期で約30~60mlの出血をしますが、鉄に換算すると15~30mgにもなります。これが何年も続くと、鉄が底をつき鉄欠乏性貧血となります。

貧血の種類は、

  1. 鉄欠乏性貧血(ヘモグロビンの合成に必要な鉄が不足するために起こる、最も患者さんの数が多い貧血)
  2. 巨赤芽球性貧血(胃の手術後、喫煙、アルコールなどでビタミンB12、葉酸が不足するため赤血球が成熟できない)
  3. 再生不良性貧血(骨髓の造血幹細胞が減少し、白血球、血小板も減少)
  4. 溶血性貧血(自己免疫により赤血球が異常に早く破壊される、血尿、黄疸が出たり、脾臓が腫れる)
  5. 二次性貧血(癌、腎不全、リウマチ、心臓病、肝硬変などによって起こる)

があります。

検査

問診(発熱, 異常な出血, 便の色, 食欲, 偏食, 消化器症状, 月経の状態, 子宮筋腫, 飲酒, 手術歴, 薬物など)の後、貧血を疑う場合、血液生化学検査を行い、赤血球(大きさで小球性、正球性、大球性に区別します)、ヘモグロビン濃度(正常値11.3~15.5 g/dl)、網状赤血球(骨髓の赤血球産生を反映4~19‰)、血清鉄(血液中の鉄48~154 μg/dl)、TIBC(総鉄結合能)、フェリチン(体内の貯蔵鉄量の指標になる3.4~89ng/ml)、トランスフェリン飽和率、などにより貧血の種類を調べます。
また、どこかから出血していないか調べるため、便潜血、腹部エコー検査などを行います。
鉄欠乏性貧血の場合、小球性低色素性、ヘモグロビン濃度↓、網状赤血球↑、血清鉄↓、TIBC↑、フェリチン↓となります。

鉄欠乏性貧血の原因

  1. 鉄の喪失量が多い。(出血が多い)
  2. 鉄の摂取量が足りない。(補給不足)
  3. 赤血球の産生低下により貯蔵鉄を使い果たしたため貧血になります。

1.の原因は、女性の多くは月経過多、子宮筋腫など、男性は痔疾、胃や腸に潰瘍や腫瘍がある可能性があります。重大な病気が隠れていることがあるので、原因検索が非常に大事になります。
また、無理なダイエットや、思春期の急激な成長によって鉄が足りなくなることがあります。

治療法は?

■食事療法

鉄は残念ながら体内で作り出すことができないので、体外から食べ物として補給しなければなりませんが、鉄は食材に微量しか含まれず、体内になかなか吸収されづらい特性があります。1日の必要量が1mgだとしてもそれを吸収するためには10mg以上とらなくてはなりません。
野菜や穀類に含まれる鉄は、非ヘム鉄といって体への吸収率が鉄全体の2~5%と低く肉や魚に含まれる、ヘム鉄は15~25%と高くなります。貧血改善にはヘム鉄を十分にとるのがコツです。非ヘム鉄も動物性たんぱく質と一緒にとると効率がよくなります。献立を工夫してみてください。

ヘム鉄を多く含んだ食材
肉類、レバー、赤身魚(いわし,マグロ,かつお)、カキ、エビ、アサリ

非ヘム鉄を多く含んだ食材
海草(のり、ひじき、わかめ、昆布)、野菜(ほうれん草、パセリ、ニラ)、アーモンド、ピーナッツ、ゴマ、果物(アプリコット、プラム、レーズン)

・鉄吸収率の具体例
豚レバー 13% 牛レバー 13% いわし 11% ほうれん草 1%

また、胃酸の分泌が悪いと、鉄を効率的に吸収できなくなります。ゆっくり良く噛んで食べると胃酸が良く出るようになります。お酢、香辛料、梅干しなども胃粘膜を刺激し胃酸分泌を高めます。
ビタミンCやたんぱく質は鉄の吸収を助ける作用があります。喫煙はビタミンCを消費してしまうの良くありません。
鉄なべ、鉄のフライパンなどを使うと鉄が料理に少しずつ溶け出して摂取できます。

■薬物療法

いわゆる鉄剤を服用します。フェルム、フェロミアなどがありますが、人によっては、鉄剤を飲むと胃の粘膜を刺激するため、吐気、むかつき、下痢などを起こしてしまうことがあります。鉄剤を内服すれば約6週間で改善されますが、使い果たした貯蔵鉄が貯まるまで、しばらく飲み続ける必要があります。緑茶やコーヒー、紅茶、チョコレートに含まれるタンニンやカフェインは、鉄剤の吸収を妨げるので服用後1時間くらいは控えてください。また便の色が黒くなりますが心配しないでください。
副作用などにより内服できないときには、注射による方法を考えます。

トピックス
鉄欠乏性貧血の患者様で、ピロリ菌感染を合併している場合は、ピロリ菌の除菌で貧血が改善されるとの報告があります。ピロリ菌が鉄吸収に影響しているとの説もありますが、まだはっきりとは解明されていない点もあります。

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